ERで診察してもらう その2

14 years ago

前回はこちらから。

ERの寒い部屋で硬いストレッチャーの上に横になり、ひたすら医者がくるのを待っていると、めがねをかけた中国系の若い女性が部屋に入ってきた。

彼女は医者だった。

再度血圧と熱と心拍数をはかった。38度少し熱があった。再度ひととおり症状や状況を説明し、彼女の質問に答える。と、あ、これは、、、、。といって、ぱたぱたと小走りに部屋をでたかとおもうと、マスクに手袋をして完全武装で戻ってきた。

また問診を続け、終えると彼女はでて行った。

そしてその後またひたすら待つ。

すると、今度は40台前後の男性の医者が部屋に入ってきた。

またはじめから症状や具合について説明する。今朝から数えて6回目。

ひととおりの検査をするが、マラリアのテストもするという。でも、インドで検査したら陰性だったのに、ともう一度説明すると、インドの医者は信用できないんだよ、と、一言。もしやインド敵対国の出身か。

インドで何してたの、と聞くので、パートナーの出張についていっただけ。観光や買い物などしてた。そして、He earns, I spend.と、付け加えた。

これはJ次郎の同僚達と一緒にゴアに旅行に行ったとき、一緒に行った女の子が来ていたTシャツのフレーズで、Dad earns, I spend.(パパが稼いで私が使う)を思い出し拝借してみたのだが、彼は気に入ったらしく、部屋を出て行きながら何度も繰り返していた。

彼が出て行ってからまた時間は経ち、次は若い男性が入ってきた。

短めの金髪の、毛先までしっかりハードジェルで固めていて、テレビドラマのERにでてきそうな感じだった。

採血してもらったが、ひとつボトルを忘れてしまったらしく、2回も針をさすはめに。フレンドリーなひとで、血をぬきながら、なぜインドに行ったのか、などと会話した。出張についていったんだ、というと、彼は何の仕事してるの?と聞いてきた。ITだよ、アウトソーシング。でもそううまくはいかないみたい。だから予定より大幅に滞在が延びてしまったんだ、というと、へえ、そうなんだあ。と、興味深そう。

そして、尿検査と、検便のボトルも持ってきた。

ここで問題があった。このとき、下痢していて、どうやって検便できるのか。それを伝えると、彼は紙製の平らな便器の形をしたものを持ってきてくれ、これで受け止めるようにとのことだった。なるほど。

その後、胸部のレントゲンを撮った。時計は夕方5時を回っていた。

ERの待合室で自販機のオレンジジュースを買っただけでお昼ごはんを食べていなかった。病院内にフードコートはあるが、今の私に食べられるものは売っていない。ひもじかった。ひとりでERに来たことを後悔した。まさかこんなに長時間いることになるとはおもわなかったのだ。

そして、さきほどのHe earns, I spendの男性の医者が再び現れ、マラリアのテストの結果次第で、マラリアだったら数日入院、そうでなかったら帰宅、後日別の医者のところで診察を受けることになる、と告げられた。え、尿路感染症はどうなったの、、、。

また時が経ち、採血してくれた若い医者が結果を教えてくれた。

マラリアではなかった。よって、帰宅。

OHIPのおかげで、ここまでも全て無料。

別のクリニックを紹介するから、電話して予約をとって、後日この紙を持っていくように、と用紙を渡される。

それは、同じ病院内のTropical Medicineという科だった。

これでまた、振り出しにもどったわけだ。そこの医者の診察が受けられるのはいつのことになるのだろう。

マラリアの有無だけでなく、他は、何を検査してそれらの検査結果はどうなるのだろう。異常があれば知らせてくれるだけなのか。

病院をでたのは、夜7時を過ぎていた。朝9時に家をでてからオレンジジュース1杯しか摂取していなかった。長い1日だった。

外にでるとあたりはすっかり暗くなり、雪が降り始めていた。

寒い病室ですっかり冷えきった身体でとぼとぼと家路についた。

続く。

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