3回目のTravel Clinicの予約がとれたのは3月29日のことだった。
Public Healthから送られてきた検査結果の用紙を携えて診察に行った。
↓ いつきても和む待合室。寒々としたERのそれとはずいぶんな違い。
診察してくれた医師によると、初めて私が訪れたとき、症状からチフスも視野にいれていたとのこと。さすがその道の専門家である。血液検査では腸チフスにかかっていてもひっかからない場合もあるということで、検便をしたらしい。事実、インドで行った血液検査には、チフス菌の検査の結果もあったが、陰性だったのだ。
腸チフスについての説明もしてくれ、Public Healthからも念をおされたとおり、調理やデイケアでの仕事に就くことは菌が確認されなくなるまでできないことや、ひとに素手で食べ物を渡したりしないこと、を言われた。
もうひとつの心配はJ次郎だったが、1年半前、初めてのインド渡航前にチフスの予防注射をしていることで、感染する可能性は低いということだった。
このころには午前中は熱は36度台半ばから後半で、あがっても37度前半になっていた。下痢もしなくなり、体力もずいぶんと回復してきていてひとりでスーパーにおつかいにいくようにもなっていた。
これをうけて、今すぐに2週間から4週間ほど抗生物質をのんで治療することもできるが、2、3ヶ月してから再び検査をし、まだチフス菌が検出されるようならそのとき抗生物質での治療をすることもできる、好きなほうを選べといわれた。
私は、後者を選んだ。幸い仕事はしていないし、飲むとなったら4週間も抗生物質を飲み続けなければいけないのは、避けられるものなら避けたかったのだ。
さらに、インドのチフス菌はもっぱら抗生物質のききにくい耐性菌なのに対し、私のは珍しいことにそうではないことがわかった。不幸中の幸い。
こうして、とりあえず再度検査をして、菌が認められれば3ヶ月したらまた連絡をとり検査をする次第となり、ラボにてサンプルのためのボトルを受け取り家に帰った。
日本にいる母はチフスときいてものすごく心配したらしい。私もはじめ伝えようかどうしようか迷ったが、状態は悪くないので一応伝えておいたのだが。
カナダや日本の、若いひとの間では、チフスって何?というひともいるとおもうが、母の年代では恐ろしい病気のイメージが強いので、ちょっと連絡があくと、入院しているのではないかなどととても心配させてしまった。
その後、結局抗生物質を飲むことはなく、ほどなくしてチフス菌は確認されなくなった。インドにいた時に発症してから2ヶ月近くにもわたる闘病生活だった。