自己判断で違う種類の抗生物質を飲んで5日目の朝、それまで常に38度はあり、たまに39度まで達していた熱が、36度台半ばまで下がった。
あいかわらず下痢は続いていたが、とうとう熱が下がったのだ。
そしてその2日後の3月1日、ERへ行ってから1週間後、ERからの紹介先のTravel Medicine Clinicへ行った。
どこの病院かとおもったら、Toronto General Hospital、階が違うだけで先日行ったERと同じ病院だった。
寒々しくせわしないERとは違い、同じ病院内なのにそこは別世界のようだった。医者が集めたとおもわれる動物の等身大のぬいぐるみが並べられている、幼稚園かとおもわれる待合スペースには誰もいなかった。
予約時間に行くとさほど待たされることなく医者に会えた。
診察室は、額に入れられた京都の金閣寺の特大写真が飾られていた。
40代の女性の医者に、これまでのいきさつや症状を長々と話し、診察してもらった。
すると、彼女は部屋を出て行った。
そしてしばらく待つと、年配の男性の医者が現れた。
きさくな医者で、自己紹介をし、私が日本人だとわかると日本に行ったこともあるといい、日本が好きだといっていた。
インドでの滞在先がバンガロールとハイデラバードだったという話になると、なんと、彼は20年以上前、バンガロールとハイデラバードで医学の勉強をしていたとのことだった。
私たちがゴアにも数日旅行で行った、というと、今度妻がゴアからくるんだよ、と話してくれた。ん???J次郎もこの言葉についてひっかかったらしく、クリニックをでてからふたりの話題になった。
そして、J次郎がインドへ行く前に予防注射をしに行ったクリニックのジェネラルマネージャーをしているという。ここまでですごく頼もしく思えたが、尿路感染症の治療でなにもそんなに熱帯地方の病気についての偉い方に診てもらわなくてもいいのに、とおもっていた。
最初に診てくれた女性の医者はどうやらインターンらしく、私たちに説明している途中、この病名をなんという?などと質問を受けていた。テレビドラマのHOUSEを思い出した。
彼女はどうやらもともとの専門は皮膚科医らしかった。どこの国かはわからないが、強いなまりのある英語を話すので、ネイティブではないなとはおもっていたが、きっと最近移民してきたのだろう。
さて、治療のほうは、またいくつかの検査をすることになった。マラリアの検査もまたするという。医者はマラリアを疑うのが好きなのか。
もしかしたら情報が伝わってなかったのかもしれないとおもい、1週間前にERでマラリアの検査はしたばかりだというと、それはわかっているが、ごく微量のマラリアが残っている場合もあり得るということだった。
2日前に熱が平熱になったことから、よくなっている兆しであろうということで、もう3週間近くも抗生物質を服用しているし、これ以上抗生物質は服用せず、次回の10日後の診察まで毎日熱をはかり様子をみることになった。
そしてその日は1階にあるラボで採血をし、検便のボトルをもらって帰った。
今日もOHIPのおかげですべて無料だった。