親知らずを抜く

15 years ago

親知らずを抜いた。1年ぐらい前から生え始め、半分くらい生えていた。

今回行ったのは、実家より最も近くにある歯医者で、叔母が建てた賃貸マンションの一階で夫婦で歯科を開業している。あまり商売気もなく、いついっても待たされることはまずない。子供もいないらしく、一日に数人の患者がいたら生活していけるらしいと、私、オーナーだから、と、優遇していもらっていることを得意気に話す叔母は言っていた。

叔母は、夫の死後、需要がなくなり衰退している地場産業の町工場をたたみ、その跡地にマンションを建てた。その昔、部屋を間貸ししていた貧乏な学生は自身の事務所を構える建築デザイナーとなり、昔のよしみでおしゃれなデザイナーズマンションを設計してもらった。駅から歩いて5分の住宅街にあるデザイナーズマンションは、入居希望者がきれることはない。長男である夫の死後ほどなくして、同居していた姑が亡くなりその数年後舅も亡くなった。最上階で悠々と暮らす叔母は長男夫婦を階下に住まわせ、もうすぐ生まれる孫の誕生を待っている。

その叔母は料理はできないが、明るく社交的で町会行事に精をだし1丁目町会のマドンナと呼ばれていた。おしゃべり好きな彼女は、歩く広告塔のようなものである。口コミでくる患者もいるらしい。

さて、朝行くとすぐに診察してもらえた。オペラのようなインド音楽のような聞いたこともないような不思議な音楽が流れていた。整体の資格ももっているその歯科医は、叔母いわく、アロマテラピーとか、ヒーリングなどに凝っているらしかった。

レントゲンをとりいよいよ親知らずを抜くことになり、半分埋もれているので難しいかもしれないですが、やってみましょう、といわれたとき、私は現実に引き戻された。難しいかもという言葉を聞いて、歯をぬくことを決意したことをやや後悔した。

10年ほど前にぬいたときは女医さんだったが、まっすぐ生えた細めの歯だったので問題なく抜けた。フェレットを3匹も買っていた白髪の彼女が、あー抜けた抜けた、きれいに抜けたわー、と、わたしより喜んで抜けた歯を見せてくれたのを覚えている。

注射をし、麻酔が効いて、歯を抜き始めた。ぐりぐりと押されるような感覚はあったが、痛みも感じず1分くらいであっけなく終わった。男のひとのほうが力が強いからだろうか。

抜けた歯は立派な歯だった。もって帰りますか、と聞かれたが、断った。抗生剤2日分と痛み止めをもらったが、幸い痛み止めは飲まずに済んだ。しばらく口の中は血の味がした。

2日後、消毒をしに再び行くと、経過は順調とのことだった。イソジンのようなうがい薬をもらった。消毒のためそれでうがいしてください、とのことだった。

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