仕事の都合で12月5日の帰国を17日まで延ばすよう、会社から正式に要請があり、J次郎は飛行機のチケットの変更をし、ホテルの滞在の延長もした。
そしてその夜、いつものように仕事から深夜にホテルに帰ってきたJ次郎は、いつもは開いているゲートが固く閉ざされ、ホテルの車で帰ってきたのにもかかわらず、車ともども厳重なチェックを受けた。空の弁当箱の中まで開けたそうだ。
翌朝、毎日部屋に届けられる新聞をみてその理由を知る。
今回のインド滞在でもテロが起こったのだった。場所は都市としてはハイデラバードより一番近い、商業都市ムンバイである。ただ400kmは離れているとはいえ、標的になったのが、外国人であること、高級ホテルであることなど、決してひとごとではないのだ。ここハイデラバードもIT都市として、外国企業がこぞって拠点をおいているし、今私達が滞在しているTaj Deccanもビジネスホテルとして各国から人々が滞在している。大きな広間があるので、連日のように企業の会合が開かれ、日本語も聞かれる。
前回もやはりJ次郎を追って私がバンガロールへ到着した当日に、バンガロールでもテロが起こり、J次郎の会社は大騒ぎとなった。自身も数週間後に数日間のバンガロール滞在を控えたアメリカ本社の重役は神経質になり躍起になって現地の情報をJ次郎に求めてきた。私やカナダ人のJ次郎からすればアメリカだって怖いのに。
今、滞在しているTaj Deccanの入り口、車寄せの脇には大きな銃を携えた若者が立っている。
←このビルの脇に入り口がある。
今回のハイデラバードの滞在で、したいことのリストのひとつに、J次郎の歯のクリーニングがあった。
ハイデラバード日本人会のサイトに載っていた歯医者を予約した。
土曜日の午後12時、広い待合室はがらがらで、受付を済ませると、J次郎も私もすぐに呼ばれた。
はじめに診察をし、それからクリーニングに入る。歯の根元部分の歯石を中心に削るように機械をかけていく。少し痛かった。
最後に前歯にペーストを塗り歯の表面も磨いてくれ、全部で30分くらいで済んだ。
かなりしばらくぶりで歯医者に来たJ次郎の歯は、本人も驚くほどきれいになっていた。少し前まで喫煙者だったので、ヤニで黄ばみ、下の前歯の根元のほうは、虫歯の初期のように黒くなっていたのに、なんとそれもすっかりとれ、つるつるの歯になっていた。
診察料が150ルピーで、クリーニング料は私は1000ルピー、J次郎は1500ルピーだった。
保険などは利かないので、もちろん全額自費だが、それにしても安い値段で特にJ次郎に関しては見違えるほどきれいになり、大満足の結果となった。
以前のバンガロールでの滞在ではアーユルベーダ体験ができなかったので今回のハイデラバードでは是非試したいとおもっていたところ、新聞の広告で、ayur care というところの、The Ayurcare Rejuvenation Therapy 555ルピーというのをみつけた。
インドにて幅広く展開しているようで、ハイデラバードだけでいくつも支店があるようだったが、一番ホテルから近いと思われるBanjaraHillsのRd No-3にあるセンターへ電話し、予約した。
そして当日、行く直前に電話し、詳しく場所を聞くと、opposite of Times of Indiaだと言うのだが、実際 Times of Indiaの前に着いても見当たらない。再度電話し、そのビルの前にいるが、見つけられないと訴えるも、電話にでた女性は、oppositeと言うのみ。だから、opposite of Times of Indiaにいるんだってば!と言うと、その女性はbehindと言い直した。
気温30度のなかビルの向かい側周辺を汗だくになってうろうろしてもみつからなかった訳だ。Times of Indiaビルの脇の道をはいり、ビルの裏手にまわるとすぐみつけることができた。
さて、マッサージのほうは、木でできた台のある個室に入り、裸になり、腰に小さな薄い布を巻かれる。
最初は座った姿勢で、頭にたらっと温められたオイルをたらし、頭から肩にマッサージ。その後台の上にうつぶせに寝て、首からつま先までオイルで揉まれる。それから仰向けになりお腹や胸、最後にフェイシャルマッサージで終了。そして全身オイルにまみれになった体をぬるま湯で流す。
45分間のマッサージで555ルピー。ホテルの価格より格段に安い。
J次郎は男のひとに施術してもらった訳だが、男の人にお尻や胸を触られるということが耐えられないらしかった。それだけの理由で二度と行かない、と言い張った。
私に施術してくれたケララ出身だという華奢な女性は一生懸命やってくれて、マッサージは気持ちよかったが、正直に言ってごま油のような独特のオイルの匂いがあまり好きになれず、今回の感想は、インドにてよい体験ができた、というところにとどまった。
ayur care
Banjara Hills (Rd No.3 Times of Indiaビルの裏手) 040-23352409
ゴルコンダフォートよりほど近いところにある、ハイデラバードで一番古いといわれている歴史的建造物がここQutub Shahi Tombsである。
QutubShahiという王たちのために自身によって建てられたお墓であり、一見の価値はある。
←この写真は遺体を洗う石造りでできたバスタブのようなものがある場所の天井で、この穴は魂が通り抜けるためにある。
敷地内は広く、見応えがあるが、全部を観て回るのは時間がかかる。
私達は着くのが遅かったので、すでに鍵が閉められてしまい、残念ながら中を見学できなかった建物もあった。ゆっくりと見学するなら午後早い時間までには行ったほうがいいだろう。
←この写真の中央の台に遺体が置かれた。
土曜日の夜、滞在しているTaj Deccanより宿泊客を対象としたプールサイドでのカクテルパーティーが開かれた。
プールサイドにはバーが設置され、その脇にドライフルーツとナッツの大きな台もあった。
大きな台の上にはたくさんのナッツや色とりどりのドライフルーツがMERRYXMASの形に盛られていて、ラムなどのお酒のボトルが添えられていた。
これから招待客皆で混ぜるのだ。一ヶ月間お酒に漬け、その後クリスマスケーキを焼くのに使われるとのことだった。
薄いゴム手袋が配られ、それをはめて、みなで混ぜた。
見ず知らずのひと達との共同作業は、何故か楽しかった。
大人たちがほろ酔い加減で楽しく混ぜた。
J次郎はビールを飲み、私はインドの赤ワインを試した。インドのワイン、なかなかおいしい。
トロントの最高気温5度の夜、私達はプールサイドで夜風に吹かれながらくつろいだ。
ケーキが焼かれるころ、私達はここにはいない。
私達がそのケーキを食べることはない。
ゴルコンダフォートはハイデラバードで見逃せない観光名所のひとつだ。遺跡を訪れるのが好きなひとには充分見応えがあり楽しいだろう。また、観光のほかにもピクニックをする人々で賑わっていた。
敷地内は広く、かなり歩き回ることになる。また、砦は丘の上にあり、滑りやすい石段を昇り降りするので、サンダル履きのインド人の女性には危なく、大変そうだった。運転手つきのホテルの車で毎日会社まで送り迎えしてもらうという、インドで歩かない生活に拍車がかかったJ次郎の運動不足解消になった。
古代から18世紀までは世界の全てのダイヤモンドがインド産であったという。子供のころテレビで小公女セーラというアニメ名作劇場のようなものをみていたが、そのセーラのお父さんがダイヤを発掘していたのがこのあたり、ゴルコンダだらしい。
今、私はこうしてインドにいるわけだが、あのころはまだインドがどこにあるのかも知らず、自分がその土地を訪れることなど想像もしなかった。
ハイデラバード日本人会のサイトに載っていたFABINDIAへ行ってみた。滞在しているTAJ DECCANの近くだった。
店内は広く、商品の品揃えが豊富だ。シャツやブラウスなどの着るものからテーブルクロスなど、いろとりどり、みているだけでも楽しい。
前回バンガローに滞在したとき、再びインドへくることもないだろうと、これが最後の機会とばかりに買い物をしたので、今回は特に買い物はしないだろうとおもっていたが、みるとほしくなってしまう。
ラップスカートを見つけた。洗濯が簡単だし、海辺のリゾートへ行ったときや、夏に部屋着として重宝するので ラップスカートはほかにも持っているが、これは刺繍も施され綿100%の生地は厚めでしっかりしていて丈夫そう。少し安くなっていて、300ルピー(約600円)。
他にランチマットを青と赤の色違いで2つ購入した。1つ6枚セットで240ルピー(約480円)。中心で色違いの2枚の生地が縫い合わさっている。
帰りはホテルまで歩いて帰った。すぐ近くにアトリエとおもわれる場所があり、職人が縫っているのがみえた。
FABINDIA ; UMA ENCLAVE,ROAD NO.9,BANJARA HILLS,HYDERABAD WWW.fabindia.com
インドのハイデラバードに着いたのは、夜中2時をまわっていた。飛行機を降りると、空気があたたかかった。
ハイデラバードの空港は、新しくきれいだった。
入国手続きは、夜中だというのに審査官の数も多く、ほとんど並ばず、かつひとことも口をきかずあっけなく済んだ。
ここからが長い。飛行機内でもあらかじめアナウンスしていたが、荷物がでてくるのに非常に時間がかかる。バンガローで経験済みだった。
結局一時間近くかかり荷物を受け取ることができた。
空港の外にでると、迎えにきた人々が大勢いてごった返していた。
カナダの時間に合わせ、ハイデラバードでは夕方から夜中2時まで働くJ次郎が仕事帰りに迎えにきてくれ、ホテルのドライバーが運転する車に乗った。
事前に調べたところ、KLMはなかなか評判がよかったが、実際に乗ってみて、納得できた。
アムステルダム行きの機内で私の席のあたりの担当だった男性のフライトアテンダントは、きびきびと働き、礼儀正しかった。
食事のとき、私の隣に座った初老の女性の、チキンに添えられたブロッコリーをさして、私これ嫌いなんだけど、という訴えに対し、横柄な態度をとることなく、トレイより取り除いてあげていた。
食事はおいしかったし、添えられるパンもあたためられて、別に配られた。ちなみに4ヶ月前に乗ったエアフランスでは個包装された冷やされ硬くなったパンが出された。
アムステルダムに着き、飛行機を降りたところで、職員がブルーの冊子のようなものを配っていた。
Please accept our apologies と表に書かれた薄い冊子を開くと、空港より無料で5分間通話可能なコーリングカードと、3種類よりひとつ選べるクーポンがついていた。
空港内での10ユーロ分の食事か、FlyingBlueもしくはWorldPerksの2000マイルか、飛行機内でのショッピングが15ユーロ割引になるというものだった。私はすでにお金を払って食事を済ませてしまっていたので、ワールドパークスの2000マイルを選んだ。ただ、フランスまで郵送しなければならないらしい。
さらに、KLMかエアフランスか、ノースウエストの次回航空券購入時に使える50ユーロ割引券もついていた。2011年の1月まで有効で、来年早々に日本に帰国するつもりなので、ぜひ利用しようとおもう。
きっとアンケートかなにかかとおもったのだろう、もらってすぐにごみ箱に捨ててしまっていたひともいたが、これはとてもお得である。以前エアフランスで旅行したとき、飛行機が遅れ、乗り継ぎにまにあわず、パリに一泊することになったが、遅れることを連絡するのに、ひと苦労だったことがあった。そういうことまで想定してコーリングカードをくれるのはありがたい。
アムステルダムからインドのハイデラバードまでは各席にスクリーンがあり、オンデマンドで、映画が楽しめた。日本語で吹き替えされている映画もたくさんあり、全てみることはできなかった。
長時間での飛行機の旅行はあまり好きではないのだが、今回は帰国するときが楽しみである。
トロントからおよそ8時間、経由地のアムステルダムに着いた。
スキポール空港は広大だった。至れり尽くせり、退屈することのないよう必要なあらゆる設備が整っている。
ショッピングエリアはかなり充実していて、ブランドものショップはもちろん、チューリップの生花や球根などを売る花屋、GOUDAチーズを売るデリカテッセン、ダイヤモンドの店まである。アムステルダムはダイヤモンドの街でもあるのだ。
ほかにも空港内の地図をみると、カジノや美術館まであるようだった。ずっと座りっぱなしだったので、ひととおりまわってみようとうろうろしはじめたところで、フードコートに、フランスのパン屋のPAULを発見。
好きなパン屋のひとつで、素通りできなかった。
Dejeuner Francaisという朝食セットを食べた。
紅茶とフレッシュオレンジジュース、クロワッサンとパンにバターとジャムのセットで、7.95ユーロ(税込み)だった。パンがおいいしかった。フードコートのエリアはWIFIzoneだった。
それからComfort seats エリアをみつけた。横たわると、リラックスできて、足の疲れがとれていき、うとうとした。
気がつくと搭乗時刻になっていた。
5時間半もの乗り継ぎ時間をどうしようかという心配は結局無用だった。これなら7時間でもよいとおもった。
カナダに帰国するときには、カジノを覗き、美術館にも行ってみようとおもった。