そして、その後2週間たっても、ウオールマートから返信はなかった。
最終的にはJ次郎に校閲してもらったとはいえ、苦手な英作文、頑張ったのにな。せめてだれかに読んでもらえたのだといいけれど。
こうしてBBBにお世話になる番がやってきたのである。
BBBは、アメリカとカナダで展開する、個人消費者と店側のトラブルを仲介して解決のために支援してくれる機関で、正式名称をBetter Business Bureauという。
今回の私のケースのように、消費者側に正当な理由があるのにも関わらず企業に相手にしてもらえない、などという、個人では解決を期待できそうにない場合などには頼れる、消費者の強い味方である。しかも無料で利用できるのだ。
申請はオンラインで簡単に申し込める。必要なことをフォームに書き込み、送信するだけ。
その後BBBは申請された案件を審査し、仲介可能と判断されれば企業側に連絡をしてくれる。
そして、送信してからほどなくしてBBBは私の案件を取り上げてくれた。
コロナウイルスの影響で進行も遅れるだろうと思っていたが、申請後2日でウオールマートからメールがきた。
あっさりと、返品、返金に応じてくれたのだった。
想定外の速さに驚いた。私がウオールマートに直接メールしても全く音沙汰なかったというのに。さらに、カナダで、事がこんなに早く進んだということに対しても2重の驚きだった。
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ありがたや、BBB。
対して、しかし、なんだろう、ウオールマート。
敵を制するにはまず敵を知ることから、ということで申請前に、ウオールマートについて調べてみた。2005年にウオールマートに関するドキュメンタリー映画が公開されていたのを知り、観てみたりもした。当時のウオールマートの見事な悪徳っぷりを存分に描いている。売り上げ額世界最高を誇る大企業の闇の部分をこれでもか、とみせつけられ、ウオールマートでの購買意欲を萎えさせるに十分な内容となっている。これが本当だとしたら、ひどいといしか言いようがない。
まあ、15年も前の映画であり、その後ウオールマートとしてはさすがにこのままじゃやばいぞというわけで、改善された問題もあるだろうが、今回の私の体験をふまえると、まだまだ二枚舌を始めとした闇の部分は残っている気がしてならないのだ。
ウオールマートは日本では西友を傘下においている。西友のホームページを見るといいことばかり言っているが、これが本当だといいのだけれど。
後日、そっくりそのままにしておいた、中華鍋の入った、ウオールマートから送られてきた段ボールにガムテープで封をし、いそいそと郵便局に持っていった。さて、郵便局はどっちの方向だったったけ、と大きな段ボール箱を抱えきょろきょろしていると、郵便局なら右側よ、と年配の白人女性が声をかけてくれた。街中では私のような眼鏡をかけた東アジア人女性に冷たい視線や言動を投げつける人もいるご時世、彼女の親切な一言が身に染みる。
こうして、返品を思い立ってから2か月近くたってようやく返品することができた。
ちなみに、この中華鍋の値段は15ドルである。クリアランス価格で。