午前中の予約の時間。診察室に入り、やはり不満であることを伝えると、彼女はいっきにいかに金属が低アレルギーか説明した。
でも前回は銀と言っていたはずだけれど、私のおもい違いだったのか、今回は、ニッケルとクロム、タイタニウムであると言った。
なんだかわけがわからなくなってきてしまった。
本当に彼女が正しく、私はいちゃもんつけてるやっかいな人かもしれないし、そうでもないかもしれない。
でも、クロムもニッケルも確かれっきとしたアレルギーの金属だとおもい、申し訳ないがやはり金属のものは受け付けられないと、きっぱりと告げた。
すると、内側も外側も全てセラミックのものに付け替えることもできるが、その場合値段は12500ルピーという。そして、帰国までの日数ではぎりぎりらしい。
彼女にしてみれば、割れる確立の少なくないものに倍以上の値段をかけるなんて!ということなんだろう。
内側金属のクラウンをその場で取り除こうかと言われたが、少し考える時間が欲しかったし、J次郎と相談したかったので、次の予約を取って帰った。
その日の夕方、私は予約しておいた別の歯医者に行った。
そこで一部始終を話した。アレルギーのためにメタルの詰め物を取り除きたいと言ったのに、内側金属のクラウンを被せられたことも告げた。
彼は、あららら、、と言う表情で、それではジルコニアだな、といってパンフレットをくれた。それは、内側ジルコニア、外側セラミックのクラウンですよね?と確認すると、そうだということで、値段は1本12000ルピー、検討するようにいわれたが、私が1月9日に帰国の予定があるというと、早めにすすめたほうが良いということで、次の日に予約をとった。
ホテルに帰り調べて見ると、オールセラミックよりジルコニアのほうが強度が高いらしい。
そして次の日、その歯医者で手付かずの左下半分の金属の詰め物をとり、型取りをして、お金を全て前金で払って帰ってきた。
その歯科医は開業医で、設備は最新のものを揃えていた。レントゲンもデジタルで、別室に移動することなく、診察台の上で撮り、その場ですぐにコンピューターの画面に写し出されたのをみることができた。
銀の被せ物や詰め物を取り除くのに削るときの装置も、パワフル。男らしく(?)豪快に削っていき、あっというまにとれた。
最新の設備を揃えているからといって医者の腕が良いわけではないし、商業的になってくる場合もおおいにあるので、彼のほうが勝っているのかどうかは私は歯科医ではないしわからない。
最初の歯科医のほうが、作業の進め方が丁寧で頻繁に口をゆすがせてくれたりしたが、彼のときはぎりぎりで、唾液で口のなかがあふれそうになったりした。金属なので飲み込んだら絶対にいけないのであるが。
しかし、私の場合虫歯の治療ではなく、クラウンを作るのは歯科医ではなく技工士。
型取りもかみ合わせは大切だからときちんとチェックして、私は舌で押したね、といわれてやり直した。
私は決めた。
彼女には申し訳ないが、クラウンは全て彼のところでお願いしたい。
となると、彼女にそのことを告げなければならないのだった。
気が重い。