被害者になって警察を呼ぶ

15 years ago

日曜の夕方4時ころ、私は自転車でイートンセンターの裏手の道を走っていて、教会がある、TrinitySquareという広場にさしかかる手前だった。

前方に黒いリンカーンが見えた。そこからTrinitySquareへは車進入禁止になっているので、多くの車はUターンしていた。ところが、その車はUターンするのか、ビルの駐車場に入っていくのか、もしくは同乗者を降ろすために一時駐車したいのか、動きがつかめないでいたので少し離れたところで止まって待っていたのだが、車が止まったので私は再びゆっくりと自転車を走らせた。

そこで、後ろからJ次郎が叫ぶのが聞こえた。その瞬間、バックしてきたリンカーンは私に当たった。当たってからも押してきた。私は自転車ごと押された格好になり、自転車が倒れるのと同時に自分は離れた。

そして車は向きを変え、発進した。そのとき近くでたまたま目撃していた女性が、「彼謝りもしないわけ!?」と叫んだので、私は自分に何が起こったか飲み込めた。

幸い私は無傷で痛みひとつなかったので、私は車の後を追い、先ほどの女性の言葉に答えるように、「No, he did’nt! 警察を呼ばなきゃ!」と車に向かって叫び、車のナンバープレートを大声で読み上げた。

J次郎が警察に電話してくれた。

するとやっとドライバーが降りてきた。

彼と話して驚いたのが、彼は私に車をぶつけたことを知らなかった様子。

彼曰く、バックするときセンサーが鳴らなかったから、大丈夫だと思った、とのこと。

私は耳を疑った。要するに、彼は、ミラーなり振り向くなり、自分自身で後ろを確認していなかったのだ。

そして、ドライバーは私に怪我はないか聞き、自転車も無事だと確認すると、笑顔で、何度も、Sorry,Sorryと言い、自分は急いでいたんだ、と言い訳した。

どうやら彼はインド人らしく、J次郎を同郷とおもったのか、わかってくれるだろう?兄弟、などと親しげ。(注;J次郎はインド人に間違えられるがインド人ではない。)

さらに、わかったよ、君達は何が望みなんだ、などと聞いてくる始末。

そして、極めつけが、私が、自分のしたことわかってるの?というと、僕の何が悪かったの?と聞いてきたのだ。

私はあっけにとられたが、そこでJ次郎が切れてしまい、Fワードを交えて、君の車が彼女を轢いたんだぞ!!と言うと、急に顔色を変え、君はそんな風に自分に対して話すべきではない、言葉に気をつけろ、と言い出し逆切れ。自分は警察を呼ぶ、と言う。

自分は100件ものこういうケースを知っているんだからな、と怒鳴り、私達から離れ車のほうへ戻り、電話し始めた。憎々しげに私たちをにらみつけながら、吸っていたタバコの吸殻を投げ捨てた。

J次郎が警察に電話してから約30分後、車体に黒字でPOLICEと書かれた紺色の車が到着。ずいぶん長い間待った気がした。私の体は全くの無傷で何も問題ないし、非常事態ではないので、サイレンを鳴らしてやってくるわけではないのだ。

若い男とベテランらしい警察官が降りてきて、ベテランのほうが、私に何が起こったかを質問した。

私は、彼の車が自分に当たったこと、自分は全く無傷だし、自転車も何も問題ないが、一番問題なのは、彼が間違ったことを犯したという自覚が全然ないことで、彼はまた繰り返すとおもうし、私は警察に報告するべきだとおもった、と告げた。

そして紙に自分の名前といきさつを書き、J次郎も証人として別の紙に記入した。

ベテランの警察官は、J次郎と世間話などをずっと話していた。

私達が刑務所のDon Jailを見学するのに4時間待ったことを話すと、目を丸くした。最近の刑務所はバスケットコートやテニスコートも備えられているんだよ、と教えてくれた。

そして、若いほうの警察官が書き上げた書類をもらった。

その書類には、担当してくれた警察官の名前と、ドライバーの名前と住所、彼の保険の番号が記されていた。後日もしこのことが原因で私の体に不調がきたした場合、私はその保険会社に連絡できるのだ。

ちなみに、警察官によると、このような場合もし車と私が直接接触していなくても、車をよけようとして私が怪我をしたら、車の方に保障する義務があるとのことだった。

そのドライバーがこの件に対して不服な場合、彼は控訴できるらしい。ドライバーは私達のアパートからそう遠くはないところに住んでいた。

彼にしてみれば、センサーが鳴らなかったんだから仕方ないし、私も自転車も無事なのだから何も問題はないのにもかかわらず、いちゃもんをつけてきた奴らぐらいにおもっているのではないかとおもう。

警察官も言っていたが、私が無傷だったのは運がよかっただけなのだ。もし私が車椅子の年寄りだったり、お腹の大きい妊婦だったり、もっとスピードをだしていて、ちょっと街路樹の位置がずれていたら、無傷ではすまなかったかもしれないのだ。

彼が以後はきちんと後ろを確認し、今後は二度とこのようなことが起こらないことを願うばかりだ。

にほんブログ村 海外生活ブログ トロント情報へ
にほんブログ村

にほんブログ村 海外生活ブログ カナダ情報へ
にほんブログ村