診察室にて、ショートカットが良く似合う上品でにこやかな女性の先生が、これはシミではなくほくろです、と伝えたとき、私はすごく驚いておもわずえーーっと大きな声をだしてしまった。
先生は、そうなんですよ、皆さんすごく驚かれるんですよ。と、笑顔で言った。
もともとは、5年くらい前から顔の頬骨のあたり、ちょうど化粧のときにチークをいれるところに、1センチくらいのシミができ、皆に、どうしたの、と聞かれるほどだった。それでも色はホクロではなく、薄茶色で、目立つシミだとばかりもっていた。
そしてふと思い立ち、思い切ってレーザー除去に挑戦したのだった。
そこは、新宿にある派手に広告をしている羽振りのよさそうなクリニックで、ぶっきらぼうな女の先生は、ためらう私に、まあ一年で何回通っても同じ値段なのだから、と私の背中をおすようなことを言い、その日のうちに強めのレーザーをあてた。
シミ除去にあてるレーザーは一瞬の痛みで、たいして痛くもなかった。
その後5mmくらいの糸クズのようなものが現われ、やがてそれも消え、しばらくはシミはごく薄くなった。
ところがもうしばらくすると以前よりは薄いが、また出てきたので、もう一度そのクリニックを訪れた。するとあのぶっきらぼうな女医はやめてしまっていなくて、丁寧な口調の男性の医師がみてくれた。最初に行ってから、一年経つ直前のことだった。
その先生が言うには、時間がたちすぎていて今またレーザーをあてると、かえってシミが濃くなる可能性があるので、薬での治療をして様子をみていきましょう、とのことだった。1年で何回レーザーをあてても同じ値段とのことでこのクリニックに決めたということもあり少々不満は残ったが、医師のいうことなので仕方ない。
しばらくの間は処方されたコウジ酸クリームやハイドロキノンなどを塗ることと、トラネキサム酸やビタミンCとEの内服などをしたが、効果はなかった。
そして最近ではすっかりもとの濃さに戻っていた。