最初に出来上がってきたのが予想より早かったのと、親切にしてくれたため、すっかり信用して時間もまだあるし、と油断してしまったのがこういう結果になってしまったのだと大反省しつつテイラーに向かった。
3時前に店に着くと、担当のテイラーの姿がみえない。
店の女の子に、聞いてみた。
「彼はランチ?チャイ?」
首を振る彼女。
そして、全く予想外の言葉が。
「病気です。」
一瞬言葉がでなかった。
どうやら病気で彼は今日は来ないらしい。
しばし呆然とするもわれに返り、なんとかしなければいけない、と、彼の携帯に電話した。
すると女のひとがでて、彼は今いないという。
でも今日絶対に仕上げる約束なんだからどうしても彼と話す必要があると食い下がると、ドクターに診てもらっているという。五分後に彼のほうからかけなおさせるということになった。
電話にでれないものは仕方がない。後でまたかけなおすまでだ。
5分後というが、どうせ30分以上はかかるだろうから、とりあえず店員たちに彼から何か聞いていないかどうか確かめることにした。
店の女の子たちは店中を探してくれたがみつからない。
そうしていると裏から騒ぎをききつけた男性がやってきて、白いドレスですよね?と言ったきり、また裏に引っ込んだ。店員の女性は、アイロンかけてる、という。
ああ、なんだアイロンか、とほっとして勧められるままに椅子に座りそのまま店で待った。
奥でミシンの音を聞きながら、きっとこのミシンの音は私のドレスに違いないと確信しながら待つこと40分、やっと私のドレスがでてきた。
ところが、それは、アイロンどころか、色や素材は同じで、縫製の最終段階に入った別のドレスだった。
なぜなら、私のドレスはクリスマスイブの時点で完成されており、試着して直しが必要だっただけだったのだ。
まあそんなことだろうとはおもっていたが。
そこで再度彼に電話すると、やっと本人がでて、無くして新しいの作ってるんでしょ、と問いただす私にその通りだと、あっさりと認めた。
まあ責めても仕方ないので、とりあえずドレスを試着して、調整の縫製に入った。
すぐできるから、といわれてから待つこと40分。
今度は腰の部分がきつすぎるのでまた縫い直し。
さらに40分待つこととなった。
続く。