応募していない抽選に当選してギフトカードをもらった理由

2 months ago

引っ越して1か月すぎたころから、大量発生した蟻の害で困っていた。

 

そもそも、鍵を受け取ったその日から、どこにでも蟻がいるのに気が付いた。キッチンでも浴室でもベッドルームでも。前のテナントが出て行ってから2か月以上経っていて、キッチンはフルリノベーションされて家電も新しいものに買い替えられている。それなのに蟻がいるのって、おかしいな、とはおもっていた。リノベされたキッチンはぴかぴかなのだが、よくみると、細かいところで施工が甘い。隙間や穴が多く、そこに蟻が出入りしている。

まあ、低層階だし、古い建物だし仕方はないだろう、たかが蟻だ、それほど問題にはならないだろうと、たかをくくっていた。

それが間違いだったのだと後で後悔することになる。

 

 

引っ越してひと月ほどたったころのこと。箱に入ったティッシュペーパーの内部に蟻が巣喰っているのを偶然見つけた。ぞっとして鳥肌がたった。ティッシュのかたまりごとすべて水道の蛇口からでる手でさわれないくらいの熱いお湯をかけた。これはいけない、とおもいアパートの管理会社に連絡したのだった。

管理会社はすぐに駆除業者を手配した。2週間ごとに3回にわけて駆除がおこなわれることになった。業者がちゃんとやるのかしっかりみておきたかったが、1回目は旅行に行っていて立ち会えなかった。

2回目は立ち会うことができた。

駆除業者とともに管理人が入ってきた。

管理人は、窓枠にそって忙しく行列をなして歩いている蟻に目を向け、おもむろに私の方へ向き直って言った。

 

私はね、あなたが蟻を持ち込んだとおもってるの。こんなにひどい蟻の害ははじめてよ。

 

鍵をもらったその日から蟻がいたんですけど!?と返すも、

 

前の住人はクレームいれてなかったし、このアパートはメンテナンスがしっかりしてるんだからあなたが持ち込んだと思う。

 

話がかみ合わない。私はおもわず声を荒げてしまった。

 

あのねえ、そんな失礼なこと言っていいとおもってるの!?私たちが家具を運び込む前、鍵の受け渡しの日から蟻はいたの!!!!それに証拠もなく、あなたが私を非難する権利なんてないの!!

 

鍵の受け渡しの日にはすでに蟻がいた、という私の主張はスルーされ、その方は聞く耳を持たない。前の住人はクレームをいれてなかった、の一点張り。

 

私はね非難なんてしてないわ、思った、っていってるだけ。前の住人はクレームいれてなかったの!!!

 

前の住人がクレームをいれていなかったからといって、蟻がいなかったということにはならない。事実、外壁にスズメバチが巣を作っていて、ベランダでは大量のスズメバチが飛び交っていたので業者を呼んで駆除したが、前の住人はクレームをいれていないし、ドアののぞき穴が壊れていて誰がドアをノックしているのか確認できなかった状態だったが、それについてもクレームをいれていない。

 

 

加えて、その方は、どうやら、思った、と付け加えれば何を言っても許されると思っているタイプの方らしい。こういう方たまにお目にかかる。おもったことを言ってるだけ、自分は悪くない的な思考回路の方。相手を不快にさせようがおかまいなし。

 

そもそも、その方についてはじめて私の心の中でアラートの鐘がなったのはアパートの契約のとき。

犬飼ってる?ここは犬禁止なの。今住んでるアパートに紹介状を書いてもらってきて、そのなかに本当に犬を飼っていないかどうかも一筆書いてもらってきてね。

トロントでは、法律で犬を飼ってもいいことになっている。たとえ管理会社が犬禁止、といっても法律の効力のほうが強いので、犬を飼っても問題はない。そんなこと長年アパートの管理人をしているひとなら知っているはず。それをあえて言ってくるのっておかしいし、そもそもその方の権限外だ。それにベランダでわんわん吠えている犬をみたばかり。とはいえ、私たちは今後も犬を飼う予定はないのだから問題はなかった。

 

そのほかにも、

ワンベッドールームのアパートなのにポータブルエアコンは1台しか供給されず、しかも部屋の広さにみあっていないものだった。これでは夏の暑さがおもいやられるなあ、とがっかりしてしまった。それでも、その方に文句を言ってはいない。ただただ、がっかりしてしまったのだ。しかしそれが気に障ったらしく、そんなにいやなら契約やめる?とまでいわれてしまったこと、

 

暑さ対策のため策をこうじるべくベランダの面積をはかっていたら、何をするためなのか根掘り葉掘り聞かれて、そんなに暑くならないから大丈夫、心配しすぎ、さらに、あれはやるな、これはやるな、これをやればいい、などとと指図されるようなことを言われ、辟易してしまったこと、

 

小さめのダンボール少量なら各階のごみ捨て場においてよい、とのことだったのでそのようにしたところ、同時期に引っ越してきた住人が中型のダンボールを大量捨て、そのことでクレームがあったらしく、その方は防犯カメラをチェックし、仕事中のJ次郎に電話をかけてきて、気をつけるよう注意されたこと。これはもう怖い。J次郎も私もどんびき。それくらいのこと、紙に注意書きを書いてエレベーターやゴミ捨て場のドアにでも貼っておけばいいのに。

とにかく、アパートの管理人としての権限を越えている言動や行動がめだつのだ。それでも、テナントと管理人として、仲良くやっていきたいとこちらはかなり感じよく接していたつもりである。

 

悪意はないのだろうが、うっかりして相手を不快にさせてしまう失言は誰にでもある。自分の過去を振り返ってもおもいあたることは結構あるので、たとえ疑問におもっても多少のことは気にせず受け流す。お互い様なのだから。

でも、受け流すと調子にのってやめないひとがいる。

それは、間違った正義感からきていたり、自分は正しいと信じてうたがわないひとだったり、いじめを楽しむモラハラ体質のひとだったり。こういった人は、こちらがたとえあからさまに不快感を示したところでやめない。なぜなら、このとき、脳ではドーパミンという快感を感じる物質が放出されて、喜びを感じてしまっているのだ。だから今後も何かと不快な思いをさせられ続けることになるのだ。

 

こういうタイプの人への対処法としては、上にクレームを入れる、の一択になる。それをすると、自分が損をする、ということを身をもって感じてもらわなければいけない状況をつくるのだ。

 

こうして、管理会社にいきさつを書いてクレームをいれることとなった。数日たっても管理会社からは何の返答もなく、もしかして誰にも読まれてないのだろうか、などと考え始めたところ、J次郎が呼び出された。

そして、引っ越したたときに家賃の引きおとしを銀行からの自動引き落としに設定してくれたひとのなかから抽選でギフトカードが当たったのでとりに来い、とのことだった。そのような抽選には応募していないが、ありがたく受け取ることにして、書類にサインした。50ドル相当のVISAのギフトカードだった。

これって、絶対クレームいれたことと関係あるよね、とふたりしておもう。抽選なんて応募したってあたらないのに、応募してない抽選にあたるなんておかしいでしょ。

 

その後3回目のアリ駆除の時は、その方部屋には入ってこず、駆除が終わるのを廊下で待っていた。

 

そのからはエレベーターやランドリールームで掃除しているその方とふたりきりになったりするときは、当然のごとくきまずい時間がながれている。私は礼儀なのでしっかりとあいさつするが、その方からはごにょごにょと口ごもった挨拶しか返ってこなくなった。

今はその方の過度な監視と干渉から解放され、平穏な日々を送っている。

 

 

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