歯医者と言い争う

再び診察室に戻り、10000ルピーは払うことができませんと伝えると、話し合い、というか言い争いが始まった。
彼女は穏やかな方なので、頭に血が上って大声を出してののしったり、罵声を浴びせたりということは一切ないが、かといって気が弱いタイプでもない。
また、開業医ではなく、診察室は病院の中にあった。小児科などがある、普通の病院である。
そして、何故かはわからないが、クラウンに関してはその都度診察が終った後に支払う形ではなく、全てのクラウンが入れ終わった後に一括で支払うことになっていた。
そう、幸いなことに私はまだ2本のクラウンの費用を払っていないのだ。
もし、型取りしたときに前払いで一括で払っていたら、こうはいかなかっただろう。
彼女はすでに作ってしまったのにお金を払わないなんて、そんなことできない、少なくとも8000ルピーは支払うように言ってきた。10000ルピーのところ8000ルピーって、それでもまだ高い。
私も、こういう事態は避けたかったが仕方ない。
私はアレルギーのために金属を取り除きたいと言ったのに内側が金属のものをオーダーしたのはあなたであり、私ではない、この場合悪いのはあなたのほうで、私ではない、私には一切非はなく、支払わないといったことをきっぱりと伝えた。
それでもそんなことはできない、支払いの請求がきたときに院長に説明がつかない、などと言ったので、院長には私が話す、というと、院長はここにはいない、という。では、電話で話す、というと、今休暇中だから、ということだった。
彼女は彼女の主張を、私は私の言い分を主張し平行線だった。
そして、しまいに彼女も、妥協案を出してきた。12000ルピーのジルコニアのものをオーダーするならば、技工士のほうになんとか伝えて安くしてもらうという。
そこで私も、12000ルピーで2本のジルコニアクラウンをオーダーしても良いが、合計で24000ルピー払う以外、取り除いた内側金属のクラウンについては一切支払わないと主張した。
彼女は、わからないがやってみる、ということで、月曜日の朝ジルコニアクラウンの型取りの予約をして診察室を後にした。
ホテルに帰り、その日一日そのことが頭から離れなかった。
私は、左半分のジルコニアクラウンを他の歯医者にオーダーした時点で、その歯医者に内側金属のクラウンをとってもらうこともできた。それだと無料である。
そして、彼女の前に2度と現れないこともできた。
でも、彼女は抜歯してインプラント、などとは言わず感染根管もしっかりと治療してくれたし、私が歯磨きのときの力のいれすぎで歯にダメージを与えていることを教えてくれたりと、歯科医として彼女のことは嫌いではないし(むしろ好き)誠意をみせるべく、再び彼女のもとへもどり、自分の決断を告げ、お金を払ってクラウンをとってもらったのだ。
でも、なんとなく、彼女のもとでジルコニアのクラウンを再びオーダーするのには気乗りがしない。
アレルギーのためとはいえ虫歯や根管治療と違って、金属を取り除きセラミックのものに変えるのは審美の範囲になってくる。
彼女は、商業的ではないし、虫歯などの歯の治療にはいいのだが、審美の範囲になると、他の歯科医のほうが良いようにおもえて仕方がないのだ。
虫歯などの歯の治療に関してはすべて言われたままに支払うが、今回は審美の範囲で、患者の望むこと、満足度に対して支払われるべきである。
よって、金属を取り除いてほしいという理由だったのにもかかわらず、一切説明なしで別の金属のクラウンをオーダーしてしまうのはどうなのか。
そして、いつも、あれ、私の聞き間違いだった?ということがたびたびある。
案の定、話し合いのなかで、内側が金属になることも事前に伝えた、などと言ってきた。これに関してはそのようなことは一切ない。
ここまでトラブルが起きていて、歯の治療以外のことを彼女に任せるのはもう不安なのだ。
J次郎とも意見が一致した。
続く。
歯医者で起こった残念なこと~2~

午前中の予約の時間。診察室に入り、やはり不満であることを伝えると、彼女はいっきにいかに金属が低アレルギーか説明した。
でも前回は銀と言っていたはずだけれど、私のおもい違いだったのか、今回は、ニッケルとクロム、タイタニウムであると言った。
なんだかわけがわからなくなってきてしまった。
本当に彼女が正しく、私はいちゃもんつけてるやっかいな人かもしれないし、そうでもないかもしれない。
でも、クロムもニッケルも確かれっきとしたアレルギーの金属だとおもい、申し訳ないがやはり金属のものは受け付けられないと、きっぱりと告げた。
すると、内側も外側も全てセラミックのものに付け替えることもできるが、その場合値段は12500ルピーという。そして、帰国までの日数ではぎりぎりらしい。
彼女にしてみれば、割れる確立の少なくないものに倍以上の値段をかけるなんて!ということなんだろう。
内側金属のクラウンをその場で取り除こうかと言われたが、少し考える時間が欲しかったし、J次郎と相談したかったので、次の予約を取って帰った。
その日の夕方、私は予約しておいた別の歯医者に行った。
そこで一部始終を話した。アレルギーのためにメタルの詰め物を取り除きたいと言ったのに、内側金属のクラウンを被せられたことも告げた。
彼は、あららら、、と言う表情で、それではジルコニアだな、といってパンフレットをくれた。それは、内側ジルコニア、外側セラミックのクラウンですよね?と確認すると、そうだということで、値段は1本12000ルピー、検討するようにいわれたが、私が1月9日に帰国の予定があるというと、早めにすすめたほうが良いということで、次の日に予約をとった。
ホテルに帰り調べて見ると、オールセラミックよりジルコニアのほうが強度が高いらしい。
そして次の日、その歯医者で手付かずの左下半分の金属の詰め物をとり、型取りをして、お金を全て前金で払って帰ってきた。
その歯科医は開業医で、設備は最新のものを揃えていた。レントゲンもデジタルで、別室に移動することなく、診察台の上で撮り、その場ですぐにコンピューターの画面に写し出されたのをみることができた。
銀の被せ物や詰め物を取り除くのに削るときの装置も、パワフル。男らしく(?)豪快に削っていき、あっというまにとれた。
最新の設備を揃えているからといって医者の腕が良いわけではないし、商業的になってくる場合もおおいにあるので、彼のほうが勝っているのかどうかは私は歯科医ではないしわからない。
最初の歯科医のほうが、作業の進め方が丁寧で頻繁に口をゆすがせてくれたりしたが、彼のときはぎりぎりで、唾液で口のなかがあふれそうになったりした。金属なので飲み込んだら絶対にいけないのであるが。
しかし、私の場合虫歯の治療ではなく、クラウンを作るのは歯科医ではなく技工士。
型取りもかみ合わせは大切だからときちんとチェックして、私は舌で押したね、といわれてやり直した。
私は決めた。
彼女には申し訳ないが、クラウンは全て彼のところでお願いしたい。
となると、彼女にそのことを告げなければならないのだった。
気が重い。
続く。
歯医者に通う

インドで歯医者に通っている理由、それは、日本では自費診療になるため高額な、口のなかにあるすべての銀色の金属のかぶせ物や詰め物を白いものに変えるためだった。
それでアトピーが治ったという話を聞いたことがあり、少しでも望みがあることには試してみたかった。
今通っている歯科医では、1本あたり詰め物の場合2500ルピー、キャップというかぶせ物の場合5000ルピー。この値段は、歯科医によって違うとおもわれるが、今のところはホテルから歩いて10分足らずなので、毎日通うのには都合がいい。
私は虫歯の治療跡が多いので総額で10万円くらいかかると思われるが、それでもしアトピーが治れば安いものだ。
先生も、女の先生で、医者にありがちな威圧感がなく話し方も穏やかで、インドはどう?好き?などときさくに話しかけてくれる。
ハイデラバードで歯のクリーニングをしたとき、私もJ次郎もふたりとも女の先生にしてもらった。またJ次郎のインドでの同僚のお母様も歯科医だということも聞き、インドでは歯科医は女のひとが多いみたいですね、と聞いてみた。朝出勤して夕方で終わり、宿直や緊急の呼び出しもないため家のことにも時間が割けるということで、インドでは歯科医の半数以上が女医だということだった。
最初はすでに自然に詰め物が取れてしまった歯をしてもらったのだが、その後は、金属の詰め物ををとるのが痛いので、自然に取れたときに白いのに変えていくほうが良いとすすめられたが、事情を話し進めてもらうことになった。
もしアトピーが治らなくても、銀のかぶせ物の下に隠れている虫歯が発見されれば治療できるし、とも考えていたら、さっそく虫歯が発見された。
いわれたとおり、結構痛かったが、アトピーが治るかもしれない可能性のことを考えると、我慢我慢。
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